不動産経営を即座拒否する前に知っておきたいメリット、デメリット

私たちの生活に必要不可欠な、労働というものの仕組みが見直される局面に突入してきています。昨今では、自宅での勤務が最適ということで、在宅勤務が通例化していますよね。給与が保証されるとはいえ、こういった時代です。その保証はいつまで続くか分かりません。

金融市場も乱高下を繰り返していますし、人々が貯蓄志向に舵を切ると、企業に収益は入りにくくなります。そういった状況でも、生活費は自分で増加させていかないといけないという事で、今は副業のニーズが非常に高まっているそうです。

そして、こういった時代に突入する前から、会社員の方に副業として絶大な人気を誇っているのが不動産投資です。

不動産投資の性質として、購入した投資用不動産に賃借人として第三者が居住すると、賃料として自分の手元に資金が毎月定期的に入ってくるので、本業にも影響を与えず、一度、不動産を購入してしまえば自分自身は稼働する事なく、副業収入を得る事ができます。

この、家賃収入を得るという不動産投資の性質は、重宝されるメリットの一つなのですが、不動産の活用方法は賃料収入を得る事だけではありません。

自分の給与から毎月天引きされている所得税を節税していく事もできるのです。

賃料を得て、自分の手元資金を増やす事も、自分の本業から出て行ってしまう税金を節税して手元に多く残す事も、結局は同じ事です。

今回は不動産を使った所得税節税方法を紹介していきたいと思います。

第1章 あなたも所得税節税は行っている

所得税を節税すると聞くと、何か自分自身がアクションを起こさないとできない事なのではないかと思う方はたくさんいらっしゃると思います。

しかし、皆さまが知らず知らずのうちに、国が用意している所得税節税システムを利用しているのはご存じですか?

先述しましたが、会社員の方であれば、年末に会社の総務などから知らせを受けた書類を提出し、年末調整して源泉徴収票を受け取って、個人の税務処理は終了します。

しかし、その源泉徴収票を注視してみてください。小さなマスに○がされているだけなので分かりにくいと思いますが、該当者は節税制度を利用している事が証明されているのです。

税金のシステムとして、自分自身が他者に年収を伝える際の数字に対して税率がかけられ、納税額が決定している訳ではありません。

誰もが給与所得控除という制度を利用して、税世界での年収が下がっているのです。

源泉徴収票の一番左側から順々に右へと進んでいくと、数字が大幅に下がっていると思います。

それは給与控除を利用している為です。そこからさらに、基礎控除として38万円がマイナスされ、配偶者がいる方はさらに38万円マイナス、生命保険料を支払っている方は一定の保険料がマイナス、というように税率をかける対象となっている年収が、少なくなる制度が色々と用意されており、皆さま自身も無意識的に節税を行っているのです。

その自動節税に、不動産投資を活用しての手動節税を加えていきましょう。

第2章 経費が増えるのを歓迎しよう

不動産を購入すると、不動産経営者となり、確定申告義務が生じます。

そして、個人規模とはいえ、不動産という企業を運営していく訳ですから、企業と同じように経費というものが認められるようになります。

経営の基本として、利益を算出するのは収入-経費です。収入が上回れば黒字、下回れば赤字になります。

不動産経営においての収入というのは、先述した家賃収入です。

そして、経費に関しては、たくさん種類があります。

まず、代表的なのは減価償却費という経費です。不動産は当たり前ですが、物です。

物というのは、時間が経過するうちに劣化する事を避けられません。物が劣化すれば、新築が中古より高値になるように、価値が減少してしまいますよね。

その価値が減少して生じるであろう損失を、一定期間ではありますが、経費として認められており、その経費を減価償却費と言います。

そして、この減価償却費が代表的な経費に挙げられるのは、実際に支出をしなくても経費計上できるからです。

投資用不動産をローンで購入した場合における、一定のローン返済額、固定資産税、管理費などが不動産経営における主な経費になる訳なのですが、これらの経費は実際に支出をしないと経費に計上できません。

一方の減価償却費は、不動産を最初に購入すれば47年間は毎年、支出をする事なく経費として計上できるのです。

経費という言葉を乱発すると、経費が積み重なっていくという印象を持たれるかもしれませんが、経費は積み重なっていいのです。

目的は不動産経営を活用して所得税を節税する事でしたね。

そして、経費が積み重なって、収入より経費が上回る状態になれば、その不動産経営は赤字経営という事になります。

税務署に提出する確定申告には、給与所得はプラスで表示され、不動産所得はマイナスで表示される事になります。

この状態が大事なのです。

何故かというと、不動産経営を開始し、給与を含めて複数の所得を持っている人だけに、損益通算という節税制度の利用権が与えられます。

この損益通算を使えば、給与所得と不動産所得の数字を合算する事ができるんですね。

プラスの数字とマイナスの数字を合算すると、プラスの数字が小さくなります。

先述した自動節税の論理と同じく、税率がかけられる自分の年収が、不動産所得のマイナスに圧縮され、結果的に納税額が低くなるという事です。

自動節税に加え、使用者が限定されている、損益通算を利用する事により、他者より1工程多い節税制度を利用する事になる為、周りと比べると節税額に差が生じる訳です。

第3章 見逃せないデメリット

不動産を活用した所得税節税の仕組みを前章でお伝えしました。

投資商品というものは、メリットだけを聞くと魅力的に映るものですが、メリットがある以上デメリットも存在します。

今までお伝えしたメリットに対してのデメリットというのは、経費を積み重ねる事ができる年数に制限があるという所です。

不動産をローンで購入すれば、時間が経過していくにつれて、不動産から生まれる経費は少なくなっていきます。

減価償却費も法定年数で47年と決まっていますし、借入金も、返済年数が30年~35年で組まれるケースが多いので、その借入を返済してしまえば経費も生まれません。

毎年支払う固定資産税という税金も、時間が経過して土地を含めた不動産の価値が下落するのであれば、評価が見直されて安くなる可能性が高いです。

そうなると、経費を積み重ねる事ができなくなり、不動産経営の紙面上は赤字ではなく、黒字になるので、損益通算を利用しても節税効果は全くありません。

そして、不動産という投資商品の単価が高いという点も頭に入れておきましょう。

同じ投資商品でも株や投資信託などは商品が細分化され、少額で投資を始める事ができるのですが、不動産は実物資産なので、初期費用が高くつきます。

月々5~6万円のローンを35年組むという事は、自宅を2件購入するようなものです。

不動産を購入し、入居人がその不動産につけば、家賃でローン返済を賄う事ができるという言い方も出来ますが、時間が経過し、その不動産の人気が落ちた時、定期的に入居人が絶対につくとも言い切れません。

普段、消費と貯蓄にしか資金を使わない人が、新たなお金の使い方である、投資に資金を使うというのは人生における一大選択となります。

メリットとデメリットを勘案して、自分にとって投資価値があるのか判断してから投資を行うようにしましょう。

さいごに

不動産を所得税節税に活用するメリットとデメリットについて話してきました。

デメリットを聞くと、単価が高い不動産投資に踏み切ろうと、なかなか思わないでしょう。

しかし、時代を見るとどうでしょうか?

会社に出勤して賃金を得る。という従来の労働システムは、いつまで機能するか分かりません。

本業で大打撃を受けた場合に備え、本業の補助輪をどれだけ用意できるかが大事になってくると言っても、昨今は過言とは言い切れませんよね。

数ある副業、数ある投資商品の中で不動産は、自分が稼働する事なく収益が生まれ、自分が本業で稼働して発生している税金を節税する事できます。

複数の副業と投資を組み合わせて、本業とは別の収入源を形成するのもいいですが、不動産を一つ組み込むと、収入という攻撃面も、節税という守備面もバランスよくカバーする事ができます。

そして、今は低金利時代なので、過去に類を見ないほど、不動産経営をスタートするハードルは下がっています。

資金計画は人生において重大な事です。

今の状況で、何かしらの変化を求めているのであれば、不動産を高いという理由だけで門前払いせず、じっくりと選択肢として考慮するのもいいかもしれない時代なのではないでしょうか。

最新情報をチェックしよう!